タイカンや開発中のマカンEVのようなBEVとともに、かねてから合成燃料によるカーボンフリーを模索していたポルシェですが、本格的な合成燃料工場をチリに建設し、出荷を開始します。
この工場では風車による風力発電によって得られた電力を利用して水と空気中の二酸化炭素から合成燃料を生産します。
作られた合成燃料はガソリンの代替として既存のガソリン車で使うことができるそうです。
化石燃料を使わず、空気中の二酸化炭素を回収して燃料化するので、その燃料を燃やしても元々空気中の二酸化炭素由来なので、差し引き「0」。カーボンフリーという事になります。
とりあえず年産13万リットルの規模でスタートし、5、6年で年産5500万リッター規模まで拡大させ、最終的に年産5億5000万リッター規模まで拡大する計画だそうです。
現在のアメリカでは年間1兆3483億ガロン(=5兆1040億リッター)のガソリンが消費されているそうで、文字通り桁違いの需給ギャップがあるわけですが、ポルシェも津々浦々までこの合成燃料で賄おうとしているわけではなく、自社顧客を守るためにこの合成燃料を開発しています。
なにしろこれまで生産された全ポルシェ車の6割がまだ一般道路を走っていると言われているわけです。
多くのクラシックポルシェが元気に走ってくれている姿は、ポルシェ社にとってブランドイメージを高めてくれる重要な要素です。
それが「ガソリンが無くなります。もう古い車は持っていても乗れません。」では、これまで築き上げてきたポルシェブランドが大きく毀損されてしまいます。
自車顧客のための合成燃料なので、少々燃料単価が高かろうと、供給量が少なかろうと、問題ありません。
自車顧客に行き渡ればいいのですから。
実際、初期ロットはポルシェモービル1スーパーカップなどのワンメイクレースやポルシェエクスペリエンスセンターのような自社広報施設などで使用するようです。
合成燃料はいかにカーボンフリーと言ってもエネルギーロスが大きすぎて、ちょっとメインストリームにはなりえないように思えますね。
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