ベントレーがW12エンジンの終了を予告

自動車関連

 イギリスの自動車メーカー、ベントレーが同社最大のエンジン6.0リッターW型12気筒ターボエンジン終了の予告を発表しました。

 聞き慣れないW型エンジンとは、V型の角度が極端に狭い狭角Vと名付けられたエンジンをさらにV型に組み合わせたエンジン形式です。
 狭角V型は、通常のV型が60度とか90度とかの角度をつけてシリンダーを配置するところ、15度という狭い角度のレイアウトになっています。
 そのため、通常のV型だとエンジンブロックが2つに分かれていますが、狭角V型は見た目直列エンジンのように1体的なブロックになり、通常のV型が左右のブロックで吸気と排気のレイアウトが対称となるところ、狭角Vは直列エンジンのように1方向から吸気、1方向への排気というレイアウトになっています。
 エンジンブロックが1体的ならヘッドも1体で、この仕組を開発したフォルクワーゲンでは狭角V型をVR型と名付け、直列エンジンとV型エンジンの要素を併せ持つエンジンと述べていました。

 フォルクワーゲングループは、4気筒と6気筒の特徴を併せ持つ直列5気筒エンジン、とか、VR型の4気筒をV型に配置してV6並にコンパクトなW8気筒エンジン、とか、なんとかとなんとかを合わせましたというエンジンが多いですね。
 結局、イレギュラーな配置に伴う複雑なエンジンになってしまい、コストの割に出力は並というエンジンばかりですよね。

 今回廃止されることになったW12型エンジンも最終バージョンということで、通常690馬力、900Nmという仕様のところを、750馬力、1000Nmにまでチューンナップするらしいですが、最近のV8エンジンなら4リッター、ツインターボで600馬力、800Nmぐらいに達しますので、わざわざ複雑で汎用性が低く重いエンジンを使うメリットは薄いですね。

 環境対策の様々な補機も取り付けが難しいでしょう。
 環境対策のコストを低減するため、最近ではV型エンジンから直列エンジンに回帰しつつあるぐらいですので、W12という特殊なエンジンが生き残っていくことは難しいです。

 体がでかくなりすぎて、環境変化に対応できなくなった恐竜を連想させます。

 一方で、合理性一辺倒じゃなく技術的トライを続けるドイツ製メカの数々にロマンを感じますので、僕は好きなんですけど。

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