日本の自動車メーカーの中ではEV推しの急先鋒である日産。
その日産が最近打ち出しているのがV2X( Vehicle to Everything )。
V2Xとはクルマと家がつながるV2H(Vehicle to Home)、クルマとビルや事業所がつながるV2B(Vehicle to Building)、クルマと電力網がつながるV2G(Vehicle to Grid)などのEVが蓄電池として様々なものとつながり、電気のバッファとして機能することで社会的コストが低減されますよという技術の総称です。
一般的なV2Hは、夕方など電力を多く消費する時間帯ではEVから住宅へ給電し、昼間は太陽光発電あるいは夜中など電気のあまり使わない時間帯は住宅の電源を使ってEVに充電します。
コストの安い(あるいはかからない)時間帯はEVに充電しておき、コストが高く、しかもたくさん電気を使う時間帯にためておいた電気をEVから供給することによりコストダウン、ピークカットを図ります。
これはわかりやすい。
個人の家計が低減されるわけです。
で、V2B、V2Gになってくると、個人が所有するEV(V2Gはその事業所に所属するEVかもしれませんが)を全体の電力平準化に使おうという発想なわけです。
昔、個人のパソコンをインターネット経由でいっぱいつないでグリッドコンピューターとして機能させ、宇宙観測の計算などに使うプロジェクトがありました。(今でもあるんですかね?)
余っている個人の能力を全体のために使おうという発想は全く同じ。
でも、これが一般化することはありませんでした。
なぜ個人の資産であるパソコンを、誰のものかもわからないものに供出しなければならないのか。
V2Xも同じです。
電力会社だけが助かるV2Gに対してなんで個人のEVを使うのか。
まして、バッテリーは充放電すると劣化していきます。
最近のバッテリーは進化しており、繰り返し充放電してもバッテリーの劣化はほとんどない、などEV推進派の方々はいいますが、程度の差はあっても原理的にバッテリーは充放電すれば絶対劣化するのです。
そんな性質のものを地域系の電力網の一部にバッファとして組み込んで、全体の電力を支えましょう、と言われても。
EVを満充電にするために家で電源につなぐのに、夕方から夜にかけてバッテリーが減っているって、それも耐えられない。
バッファとしての蓄電池は電力会社が用意するのが筋でしょ。
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